DifyはオープンソースのAIアプリ開発プラットフォームで、GitHubから簡単にインストールできます。
しかし、初めてDifyを使う方の中には「インストールの手順が難しそう」「GitHubをどう使うかわからない」と不安に思う方もいるでしょう。
本記事では、そうした悩みを解決し、Difyのインストール手順からセルフホストについて詳しく解説します。
Difyでの副業やAIプロジェクトも安心してスタートできます。

生成AI活用の教科書
生成AIの専門家として、1000人以上が参加するAIセミナーを100回以上開催した実績を持つ。国会議事堂衆議院会館や三井物産株式会社などの一流機関でのAIセミナー主催、生成AIタスクフォースへの参画、Shift AIでの講師活動など幅広く活躍。5000名を超える「人生逃げ切りサロン」のAI講座監修や、上場企業におけるAI顧問・システム開発・研修なども手がける。総フォロワー数32万人を誇るAI情報発信アカウントを運営し、過去には3つの事業のM&A経験を持つなど、AIと経営の両面で豊富な知識と経験を有している。
DifyとGitHubの関係は?なぜGitHubが重要?

DifyとGitHubは切っても切れない関係です。
Difyの開発や配布はGitHub上で行われており、ユーザーにとってもGitHubは重要な役割を果たします。
コミュニティで新機能追加や不具合修正が行われ、常に最新のDifyが提供されています。
そのため、GitHubを理解することがDify活用の第一歩といえるでしょう。
DifyのGitHubリポジトリ:公式ソースコードの保管場所
Difyの公式GitHubリポジトリ「langgenius/dify」は、LLMアプリ開発の中核となるオープンソースプロジェクトです。
主要コンポーネントには、AIワークフロー、RAGパイプライン、エージェント機能、モデル管理、観測性機能などが含まれ、プロトタイプから本番環境への移行を支援します。
セルフホストユーザー向けには、ドキュメントリポジトリ「dify-docs」やプラグインリポジトリ「dify-plugins」も提供されており、導入や拡張に役立つ重要な情報源となっています。
なぜDifyはGitHubで公開されているの?
DifyがGitHubで公開されているのは、透明性、コラボレーション、コミュニティ構築という3つの価値を重視しているためです。
ソースコードを公開することで開発の透明性が確保され、信頼性が向上します。
GitHubのIssueやDiscussion機能を活用すると、ユーザーや開発者が意見交換や課題解決を行い、共同開発が促進されます。
また、Pull Requestを通じて外部からの貢献を受け入れることで、コミュニティが活性化し、Difyの進化が加速します。
このように、GitHubはDifyの価値を最大限に引き出すプラットフォームとなっています。
GitHubを通じたDifyのセルフホスト方法
DifyをGitHubからセルフホストするには、Docker Composeを利用する方法が一般的です。
まず、Difyのリポジトリをクローンし、dockerディレクトリ内で.env.exampleを.envとしてコピーします。
docker compose up -d
その後、上記を実行すると、必要なコンテナ群が起動し、Difyの環境が構築されるのです。
セルフホストの利点には、データ主権の確保やカスタマイズ性の高さが挙げられます。
自身のサーバー上で運用すると、機密性の高いデータを外部に漏らすことなく管理でき、独自のニーズに合わせた機能追加や設定変更が可能です。
ただし、運用・保守の責任はユーザー側です。
セキュリティ対策やアップデートの適用など、継続的な管理が求められます。
そのため、技術的な知識を持ち、独自の要件に応じた柔軟な運用を望むユーザーにセルフホストは適しています。
GitHubからDifyを始める!Dockerを使ったインストール

DifyをGitHubからインストールするには、Dockerを活用する方法が最も効率的です。
ここでは、初心者でもわかりやすいよう、Dockerを使ったセルフホスト手順をステップバイステップで解説します。
事前準備からセットアップまで安心して進められます。
インストール前の準備:前提条件を確認しよう
Difyをセルフホストする前に、必要なソフトウェアとハードウェアの前提条件を確認しておきましょう。
必須ソフトウェアはDocker Engine、Docker Compose、Git、FFmpegで、対応OSはLinux、macOS、Windows(WSLを含む)です。
ハードウェア要件は、最低でもCPU2コア、RAM8GB、空きディスク容量20GBが必要ですが、快適な運用にはCPU4コア以上、RAM16GB以上、ストレージ50GB以上が推奨されます。
ローカルでLLM(大規模言語モデル)を使用する場合は、さらに高性能なGPUと十分なメモリ容量が求められるため、用途に応じた環境構築が重要です。
ステップ1:Difyリポジトリをクローンする

まずターミナルを起動し、以下のコマンドを実行してDifyの公式リポジトリをクローンします。
ターミナルはmacOSの場合、デフォルトでインストールされているため、ダウンロードは不要です。
git clone https://github.com/langgenius/dify.git
クローン後、次のコマンドで作成された「dify」ディレクトリに移動します。
cd dify この時点で、Difyのソースコード一式がローカルに展開され、以降のセットアップ作業が行える状態です。
ステップ2:設定ファイルを準備する
Difyを起動するには、環境設定ファイル(.env)の準備が必要です。
まず、以下のコマンドでサンプルファイルをコピーします。
cp .env.example .env
次に、.envファイルをエディタで開き、以下の主要項目を編集します。
SECRET_KEYはセキュリティに関わる暗号鍵で、十分に複雑なランダム文字列を設定してください。
MAX_UPLOAD_SIZEは、アップロード可能なファイルサイズをバイト単位で指定します。
PORTはアプリが使用するポート番号、VECTOR_STOREはベクトル検索に使用するデータベース(例:qdrant、weaviateなど)を選択します。
各項目は、環境に応じて適切に設定しましょう。
ステップ3:Dockerコンテナを起動する
設定ファイルの編集が完了したら、以下のコマンドでDockerコンテナをバックグラウンド起動してください。
docker compose up -d
初回起動時は必要なDockerイメージのダウンロードが行われるため、環境によって数分程度かかることがあります。
docker compose ps
起動状況を確認するには、 上記を実行し、各サービスが「Up」と表示されていれば正常に起動しています。
docker compose logs -f
詳細な状態を確認したい場合は、上記のコマンドでリアルタイムログを確認可能です。
エラーが出力されていなければ、Difyは問題なく起動しています。
ステップ4:Difyにアクセスして初期設定
Dockerコンテナが正常に起動したら、ブラウザでhttp://localhost:5000にアクセスします。
初回アクセス時に、メールアドレス・パスワードを入力して登録を行います。
ログイン後は、LLMプロバイダー(OpenAIやAnthropicなど)のAPIキーを入力し、使用するモデルを選択してください。
この設定により、Difyが外部LLMと接続され、アプリ作成やワークフロー構築などの機能が利用可能です。
初期設定の完了をもって、実運用の準備が整います。
トラブルシューティング
Difyのインストールや運用時に発生しやすい問題と、その代表的な解決策をカテゴリ別に紹介します。
1. コンテナが起動しない
docker compose up
実行後にコンテナが「Exit」する場合、.envファイルの記述ミスやポートの競合が主な原因です。
設定内容を再確認し、下記のコマンドで詳細なエラーメッセージを確認してください。
docker compose logs
2. ログインできない
「無効」と表示される場合は、登録時のメールアドレスまたはパスワードが誤っている可能性があります。
必要に応じてアカウントを再作成しましょう。
3. プラグインがインストールできない
依存関係の問題が疑われる場合は、下記のコマンドを実行して手動で解決を試みてください。
docker compose exec backend pip install [パッケージ名]
4. アップグレード時のエラー
マイグレーション関連のエラーは、下記のコマンドで対応可能です。
docker compose exec backend alembic upgrade head
5. パフォーマンスが低下する
応答が遅い場合は、ホストマシンのCPU・メモリ不足や、外部LLMプロバイダーの遅延が原因です。
システムリソースとAPI応答状況を確認してください。
解決できない場合は、GitHubのIssuesページや公式Discordコミュニティで相談すると、有益な情報を得られることがあります。
【GitHubをさらに活用】Difyの活用事例とコミュニティ
DifyのGitHubリポジトリは、単なるソースコードの管理だけでなく、グローバルな開発者コミュニティの中核としても機能しています。
具体的には、「Discussions」や「Pull requests」などを通して、Difyを活用した実践的な事例や応用ノウハウが数多く共有されており、他ユーザーの取り組みから新たなヒントや発想を得ることが可能です。
また、バグ報告や機能提案、改善のための貢献を行うことで、プロジェクトの成長に参画できる点も魅力です。
ここからは、DifyとNotionを連携させた活用例について詳しく見ていきます。
Difyを使ったアプリケーション開発例
Difyを活用すれば、多様なAIアプリケーションの開発が可能です。
たとえば、ユーザーの意図を的確に捉えて対応するインテリジェントエージェント、自社データベースを活用したRAG型ナレッジQ&A、複数のAIタスクを連携させる複雑なワークフローが挙げられます。
さらに、DifyをバックエンドAPI(BaaS)として利用する構成や、ローカルLLMと連携したセキュアなオンプレミス運用も実現可能です。
このような事例から、Difyが柔軟で高度なAIアプリ開発に対応できることがわかります。
GitHubで見つけるDify関連プロジェクト
GitHub上では、Dify本体のソースコードだけでなく、コミュニティが作成した関連プロジェクトも数多く見つけられます。
たとえば、AWSが公開しているサンプルリポジトリでは、AWSのクラウド環境にDifyを簡単にセルフホストできるテンプレートが提供されているのです。
また、有志によるKubernetes向けのデプロイ用Helmチャートや、Difyを活用したアプリのテンプレートなどもGitHub上で共有されています。
プロジェクトを活用すると、自分の用途に合った環境構築や機能拡張を容易に行うことができます。
なお、GitHubで「Dify」と検索すると、他にも多くのツールやアイデアが見つかるので、興味があれば探してみてください。
Difyコミュニティへの参加方法(Discord, GitHub Discussionsなど)
初心者やノーコードでAI開発をしたい人にとって心強いのが、Difyの活発なコミュニティです。
参加方法も簡単で、まず公式Discordサーバーに参加すると、世界中のユーザーや開発チームと直接情報交換ができます。
Discord内では「質問」や「事例共有」のチャンネルが用意され、気軽に疑問を投稿でき、他のメンバーからアドバイスももらえます。
また、GitHub上のDiscussionsページでは機能や使い方についての疑問や提案を投稿でき、開発者や他のユーザーからフィードバックを得られるのです。
そのほか、公式SNS(XやReddit)でも情報発信が行われています。
これらのコミュニティを活用すると、疑問を解決しながらDifyのスキルを高めていくことができます。
DifyとGitHubについてよくある質問(FAQ)
ここからは、DifyとGitHubに関して初心者が抱きやすい質問とその回答をQ&A形式で紹介します。
クラウド版とセルフホスト版の違いや、必要なシステム要件、公式ソースコードの場所、Difyで作れるAIアプリの種類など、よくある疑問に答えていきます。
初心者の疑問を解消して、自信を持ってDifyに取り組みましょう。
Dify Cloud(クラウド版)とGitHubから入手するセルフホスト版の違いは何ですか?
Difyには、公式が提供するクラウド版(Dify Cloud)と、GitHubから取得して構築するセルフホスト版の2種類があります。
クラウド版はインストール不要で即利用でき、運用管理の手間が省ける一方、カスタマイズ性やデータの柔軟な管理には制限があります。
セルフホスト版はDocker環境などへの導入が必要ですが、認証方式や機能拡張、データ管理において高い自由度を確保することが可能です。
コスト面では、クラウド版は月額課金制、セルフホスト版はサーバー構成により変動します。
迅速に導入したい場合はクラウド版、独自要件に応じた運用を重視する場合はセルフホスト版が適しています。
<h3>Difyをセルフホストする場合、推奨されるシステム要件はありますか?
Difyをセルフホストする際の最小要件は、CPU 2コア、RAM 4GB、ストレージ 20GB以上、対応OSはLinuxまたはWSLを利用するWindowsです。
推奨構成としては、CPU 4コア以上、RAM 8GB以上、SSD 50GB以上が望まれます。
さらに、ローカルLLMを活用する場合は、RAM 16GB以上およびGPU搭載環境が推奨されます。
必要なシステムリソースは、同時利用者数やデータ処理量、ワークフローの複雑さによって大きく変動するため、ユースケースに応じた柔軟な設計が求められるでしょう。
Difyの公式ソースコードはGitHubのどこにありますか?
Difyの公式ソースコードは、GitHubの「https://github.com/langgenius/dify」で公開されています。
リポジトリには、バックエンド、フロントエンド、Docker構成ファイルなどが含まれており、MITライセンスのもとで利用可能です。
開発に参加したい場合は、リポジトリをフォークし、変更内容をプルリクエストとして提出すると貢献できます。
Difyを使ってどのようなAIアプリケーションを開発できますか?
Difyでは、チャットボットや業務アシスタント、RAG(検索拡張生成)アプリ、AIワークフロー自動化ツール、BaaS、ローカルLLM対応システムなど、多様なAIアプリケーションを開発できます。
たとえば、社内FAQ対応ボット、議事録要約システム、契約書レビュー支援、Notion連携AIなどがあり、単体でも組み合わせても柔軟に構築可能です。
DifyとGitHubでAI開発を始めてみよう!
Difyの活用事例やコミュニティについて見てきました。
Difyの魅力や活用のヒントがお分かりいただけたでしょうか。
Dify Cloudの無料プランに登録して手軽に機能を試したり、GitHubからセルフホスト版をセットアップして自分のPC上でプロトタイプを作成することもできます。
わからないことがあればコミュニティで質問しつつ進めれば、初心者でも安心です。
DifyとGitHubを味方に、あなたのアイデアを形にするAIアプリ開発にぜひ挑戦してみてください。
Difyの教材で学習を始めることで、基礎から応用まで学ぶことができるため、初心者の方でも習得できます。
気になる方は、ぜひDifyの教材をご覧ください。