近年、AI技術の飛躍的な進化により、業務を自動化する動きが加速しています。
特に、大規模言語モデル(LLM)の登場は、専門知識がなくても高度なAIを活用できる環境をもたらしました。
こうした中、プログラミング不要(ノーコード・ローコード)でAIを利用できるツールの重要性が増しています。
Difyはそんなニーズに応える新しいプラットフォームで、その可能性に注目が集まっています。

生成AI活用の教科書
生成AIの専門家として、1000人以上が参加するAIセミナーを100回以上開催した実績を持つ。国会議事堂衆議院会館や三井物産株式会社などの一流機関でのAIセミナー主催、生成AIタスクフォースへの参画、Shift AIでの講師活動など幅広く活躍。5000名を超える「人生逃げ切りサロン」のAI講座監修や、上場企業におけるAI顧問・システム開発・研修なども手がける。総フォロワー数32万人を誇るAI情報発信アカウントを運営し、過去には3つの事業のM&A経験を持つなど、AIと経営の両面で豊富な知識と経験を有している。
Difyワークフローとは?AIタスクを繋いで自動化する仕組みを徹底解剖

Difyのワークフローとは、複数のAIタスク(処理)を順番につなげて一括で自動実行できる仕組みです。
Difyのワークフローにより、チャットでの応答だけではなく、データ収集や分析、コンテンツ生成など様々な処理を組み合わせた複雑なAIアプリをノーコードで構築できます。
ユーザーの入力をもとにAIがデータを検索・分析し、結果を自動で出力する、といった流れも構築可能です。
単なるチャットボットじゃない!視覚的にプロセスを自動化
AIアプリというとチャットボットを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、Difyのワークフローはそれだけではありません。
UI上には「ブロック」と呼ばれる処理パーツが用意されており、ドラッグ&ドロップでつなげるだけでプロセスを組み立てることができます。
プログラミング不要でフローチャート感覚で操作できるため、初心者にも扱いやすいのが魅力です。
たとえば、データの取得→AI分析→結果出力といった流れも、ブロックを視覚的に配置してつなぐだけで自動化できます。
さらに、条件分岐(IF/ELSE)などのロジックもブロックで設定できるため、複雑なシナリオにも柔軟に対応可能です。
レゴブロックのようにAI機能を組み合わせる「ノード」と「変数」
Difyのワークフローには、各ステップを実行する要素として「ノード」が用意されています。
以下のようなノードが用意されています。
- LLMノード:AIによる文章生成や質問対応
- 知識検索ノード:事前に取り込んだ資料から情報検索
- IF/ELSEノード:条件に応じて処理を分岐
- HTTPリクエストノード:外部APIからデータ取得
ノードを組み合わせる様子は、まるでレゴブロックを組み立てるかのように直感的です。
一方、ノード間でデータを受け渡すために重要なのが「変数」です。
変数はデータを一時的に保存する箱のようなもので、一つのノードで得た結果を次のノードへ引き継ぐことができます。
ユーザーからの入力内容を変数として保持し、後編のノード(AI処理や出力)で活用することも可能です。
このように、ノードと変数を駆使すると、複雑な処理フローも自由自在に設計できます。
チャットフローとワークフローの違い


Difyでは、アプリの種類として「チャットフロー」と「ワークフロー」が提供されています。
チャットフローは、ユーザーとAIがメッセージを交わしながら進む対話型プロセスで、チャットボットやFAQシステムなどが対象です。
AIは過去に交わした会話履歴(メモリ)も考慮しながら回答を生成します。
ワークフローは、最初にユーザーから入力されたデータをもとに一連の処理を自動実行するプロセスです。
チャットフローがユーザーとの対話を重ねながら処理が進むのに対し、ワークフローは最初の入力から最後まで一括で処理が完了する感覚です。
以下で、チャットフローとワークフローの違いを比較しました。
→スクロールできます
種類 | 対話形式の有無 | ユーザー入力の タイミング | 処理フローの構成 | 適したシナリオ | カスタマイズ性 |
---|---|---|---|---|---|
チャットフロー | あり | 逐次入力 | 対話ノード中心 | 対話型シナリオ向き | 簡易構築 |
ワークフロー | なし | 初回のみ | ノード連携型 | 自動処理シナリオ向き | 柔軟な制御 |
チャットフローとワークフローの違いを理解して、使い分けましょう。
Difyワークフローはこんなに使える!具体的な事例集

Difyのワークフローは様々な業務で力を発揮します。
ここでは、コンテンツ生成の自動化やデータ処理・分析の効率化、カスタマーサポート業務の強化など、現場で使える具体例を見ていきます。
Difyワークフローがどのように役立つかを確認していきましょう。
- コンテンツ生成を自動化・効率化
- データ処理・分析作業を高速化・省力化
- カスタマーサポート業務を強化・効率化
コンテンツ生成を自動化・効率化
コンテンツ(文章や資料)の作成は時間がかかる作業ですが、Difyワークフローを活用すればその多くを自動化できます。
AIが与えられた指示やテンプレートに従って文章を生成してくれるため、手作業で一から書く手間を大幅に削減できるのです。
あらかじめ用意した箇条書きのアウトラインを入力し、LLMノードに記事の下書きを一気に書かせることが可能です。
また、商品データを入力して自動で商品説明文を作成したり、長文記事から要約を生成したりといったこともボタン一つで実行できます。
これにより、コンテンツ制作チームはAIが作った素案を微調整するだけで済み、生産性が飛躍的に向上します。
データ処理・分析作業を高速化・省力化
大量のデータを扱う処理や分析業務も、Difyワークフローであれば高速かつ省力化が可能です。
人手で行えば膨大な時間がかかるタスクも、AIや自動処理ノードの組み合わせによって短時間で完了します。
数百件の顧客フィードバックをAIで分類・要約したり、膨大なExcelデータから重要な指標を抽出してレポート化したりといったことが自動で実行できます。
HTTPリクエストノードを使えば外部のデータ収集も簡単に組み込めるため、データ収集から分析まで一貫して自動化可能です。
その結果、担当者は機械的なデータ処理に追われることなく、本来注力すべき分析や意思決定に集中できます。
カスタマーサポート業務を強化・効率化
カスタマーサポートの分野でも、Difyワークフローは業務を強力に支援し効率化してくれます。
AIがよくある質問に自動応答したり、問い合わせ内容を分類して適切な担当に振り分けたりすると、お客様への初動対応が迅速で的確になります。
ナレッジベース検索ノードとLLMノードを組み合わせれば、FAQに対する即時回答ボットを構築可能です。
ユーザーからの質問を受け取るとAIが社内データベースを検索し、最適な回答を生成して返答します。
対応が難しい質問の場合には、ワークフロー内で人間担当者にエスカレーションする設定も可能です。
サポート担当者の負担は大きく軽減され、24時間体制で安定した対応が可能になります。
結果として、顧客満足度の向上と業務効率の両立が実現するのです。
【実践】Difyワークフローの基本的な作り方|10ステップでAI自動化を体験!
ここからは、Difyワークフローの基本的な作り方を10のステップで紹介します。
初心者でも簡単にAI自動化を体験できるよう、各ステップで具体的な操作方法について解説します。
入力の設定からAIモデルの活用、外部データの取り込み、条件分岐、アプリ公開まで、一連の流れを実践形式で学びましょう。
Difyアカウント作成/ログインとワークフロー新規作成
Difyを使い始めるには、まず公式サイト(https://dify.ai/)にアクセスし、画面右上の「Sign up」ボタンからアカウントを作成します。
メールアドレスとパスワードを入力する方法に加え、Googleアカウントによる登録にも対応しています。

ログイン後は、左側のメニューから「ワークフロー」を選択し、「最初から作成」をクリックしてください。

「アプリのアイコンと名前」「説明」を設定し、「作成する」を選択すると新規で作成が可能です。
ワークフローキャンバスの基本操作(ノードの追加、接続、削除)

Difyのワークフローキャンバスは、ノーコードでAI処理を設計できる視覚的な編集画面です。
ノードを追加するには、左下の「+」ボタンをクリックし、表示されたメニューから「LLM」や「HTTP リクエスト」などのノードを選択して、キャンバス上にドラッグ&ドロップします。
ノード同士の接続は、ノード右側の丸いコネクタから線を引き、接続先のノードに重ねてドロップするだけで簡単に行えます。
不要になったノードを削除するには、該当ノードをクリックして選択し、右上に表示されるゴミ箱アイコンをクリックするか、キーボードのDeleteキーを使用します。
基本操作を理解すると、初心者でも直感的にワークフローを構築できるようになります。
プログラミングの知識がなくても扱いやすい点が、Difyの大きな魅力です。
開始ノード:入力変数を定義する
Difyのワークフローにおける「開始ノード(Start)」は、ユーザーの入力や外部システムからのデータを受け取る起点となる重要なノードです。
開始ノードでは、ワークフロー内で使用する「入力変数」を定義します。
たとえば、ユーザーからの質問を扱う場合には「user_input」という変数を設定します。
入力変数は、以降のLLMノードや条件分岐ノードなどで参照され、処理全体にわたって活用されるのです。
変数名は、用途が明確に伝わる簡潔な英語表記(例:user_name、query、product_id)にすると、可読性とメンテナンス性が向上します。
設定手順としては、開始ノードをクリックし、「Variables」セクションで変数名とデータ型(string、numberなど)を入力するだけです。
入力変数を適切に定義することで、柔軟かつ再利用性の高いワークフローを構築できます。
初心者でも変数の役割と命名ルールを意識すれば、より効率的に自動化の設計が行えます。
LLMノード:モデルを選び、プロンプトを設定する

LLMノードは、Difyワークフロー内でAIによる文章生成や応答処理を担う重要な要素です。
まずキャンバスにLLMノードを追加し、クリックして設定画面を開きます。
「Model」では、あらかじめ接続済みの大規模言語モデルから、目的に適したものを選択します。
※AIモデルに▲がある場合は、未接続ということです。
続いて「Prompt」欄にプロンプトテンプレートを入力しましょう。
変数は{{user_input}}のように波かっこで囲んで参照し、動的な応答に対応させます。
「以下の質問にやさしく答えてください:{{user_input}}」と記述すれば、入力内容に応じた回答を生成できます。
出力変数にはllm_responseなど意味の分かりやすい名前を付けておくと、後続ノードでの再利用がスムーズです。
効果的なプロンプト例としては、「{{product_description}}を200文字以内で要約してください」や「{{user_question}}に対する回答を3つのポイントに分けて出力してください」などが挙げられます。
プロンプトは明確で具体的に記述することが、AIの出力精度を高める鍵となります。
ツールノード:Web Scraperで情報を取得する
Difyのツールノード「Web Scraper」は、指定したWebページからテキストやHTML要素を自動で取得できる機能です。

「Target URL」に取得対象のURLを入力し、「CSS Selector」で抽出したい要素を設定します。
取得したデータは変数として保存され、後続のノードで活用可能です。
たとえば、ニュースサイトから見出しを抽出し、LLMノードで要約を生成する、といった使い方ができます。
外部情報を動的に取り込むことで、ワークフローの実用性と柔軟性が大きく向上します。
ナレッジ検索ノード:独自の知識をAIに与える
Difyのナレッジ検索ノードは、あらかじめ登録したナレッジベースから関連情報を検索し、AIの応答に反映させる機能です。
設定では利用するナレッジベースを選び、検索クエリに変数を指定することで、入力内容に応じた柔軟な検索が可能になります。
取得した検索結果はLLMノードへ渡され、回答の根拠として活用されます。
これにより、独自データに基づく信頼性の高い出力が実現でき、FAQ対応や社内向けサポートに効果的です。
フロー制御ノード:条件分岐を使ってみる
Difyのフロー制御ノード「条件分岐」は、変数の値に応じて処理の流れを分岐させる機能です。
設定では、条件式に変数を指定し、TrueとFalseそれぞれに対して異なる処理を構築できます。
たとえば「質問の種類」が「商品情報」の場合はLLMノードAへ、「営業時間」の場合はLLMノードBへ進めるといった分岐が可能です。
ユーザーの入力内容に応じた適切な対応ができるため、対話の精度と柔軟性が大きく向上します。
終了ノード:ワークフローの出口を設定する
Difyの終了ノードは、ワークフローの処理を完了させ、最終的な出力結果を返す役割を担います。
設定では、返却する変数を指定することで、AIの応答や処理結果を明確に定義できます。
条件分岐と組み合わせて複数の終了ノードを設けることで、入力に応じた異なる出口処理にも対応可能です。
出口を明示すると、ワークフロー全体の安定性と再現性が高まります。
テスト実行:実際に動かしてデバッグする

Difyのワークフローは、画面右上の「Run」ボタンからテスト実行が可能です。
事前に入力データを手動で設定し、各ノードの出力内容を確認しながら動作を検証します。
エラーが発生した場合は、該当ノードをクリックして詳細ログを確認し、変数の未設定や接続漏れといった原因を特定・修正します。
特に、変数名の不一致はよくあるトラブルの一つです。
繰り返し検証を行うことで、安定したワークフローが構築できます。
公開:作成したワークフローをアプリとして利用可能にする

Difyでは、完成したワークフローを右上の「公開する」から公開し、アプリやAPIとして活用できます。
公開時にはアクセス権限を「パブリック」または「プライベート」から選択し、必要に応じてAPIキーを発行することで外部システムとの連携も実現可能です。
公開後は、バージョン管理やログの監視を行い、定期的な見直しによって安定した運用を維持します。
業務での実用性を高めるうえでも、計画的な運用設計が重要です。
Difyのワークフローについてよくある質問(FAQ)
Difyのワークフローは便利ですが、初めて使う方は戸惑いがちです。
「プログラミング知識は必要?」「ノードって何?」といった疑問も出てくるでしょう。
そこで、初心者が抱きがちなポイントを整理したFAQを用意しました。
外部ツールとの連携や自分の持つドキュメントを使えるかなど、気になる点をわかりやすく解説します。
これを読めばワークフロー作成のハードルが下がり、自信をもって効率化に踏み出せるでしょう。
Difyワークフローで業務を加速させよう!
Difyワークフローを使えば、誰でも簡単に業務の自動化を始められます。
プログラミング知識がなくても直感的に扱えるので、初心者でもスムーズに導入可能です。
さらに、慣れてくれば高度なノードや外部連携を活用して、より複雑な自動化にも挑戦できます。
Difyはシンプルな使い勝手と拡張性を兼ね備えており、作業効率化の強い味方となってくれるでしょう。
ルーチン作業をDifyに任せれば、時間短縮やミス削減につながります。
Difyワークフローで日々の業務を加速させ、生産性アップを実現しましょう。